御代田町に移住して3度目の冬を迎えました。涼しい快適な夏と気がつけば終わっていた秋、そして極寒の長い冬を経験しました。これまで太平洋側の温暖な地域でしか暮らしたことがなかったので、生活スタイルがガラリと変わりました。

これはよかったな~。これは移住失敗かな?とメリット・デメリットいろいろあります。

なぜ御代田町に移住したのか?

そもそも御代田町を定住地として選んだのは、偶然なのです。移住希望地は軽井沢周辺で、第一候補として御代田町の隣の都市である小諸市・佐久市を挙げていました。軽井沢町は、湿度が高く霧も多いということから候補からは外していました。

御代田町との出会いは、小諸市が銀座NAGANOで主催する移住説明会に参加し、2017年3月末から小諸市の移住体験施設「やまぼうし」に一週間滞在していたときのことです。小諸市周辺をいろいろ出歩いたり、近くの幼稚園に子供を連れて見学に行ったりと周辺視察を行いつつ、住宅物件もいくつか見ておこうと思い小諸市から地元の仲介業者のリストをいただいたので、佐久市の仲介業者に出向くことにしました。

伺った際、担当者の方に予算や候補地を告げたら、「小諸市も佐久市もは、ほとんど中古戸建ての物件がありません。”みよたまち”なら、明日公開のお勧めの物件がありますが、どうですか?」といわれたのです。

私:「みよたまち?」ってどこですか?
担当:軽井沢町の隣ですよ
私:そんなところ知りません
担当:ここ(佐久の岩村田)からすぐですよ。町もキレイで、子育て世帯が多く、暮らしやすいところです
私:みよたまちって「御代田町」と書くんだ…

御代田町(みよたまち)では、数年に1度くらいしか”いい物件”が出てこないといわれたので、興味本位でその物件(現在の住まい)を見に行くことにしました。物件に近くにある雪窓公園(せっそうこうえん)の駐車場に車を止めて歩くこと数分。軽井沢エリアの3月末の気温は冷え込みますが、日中のあたたかい日差しがそれを幾分か和らげてくれるようないい天気でしたので、道中の美しい景色を見ただけで、ちょっとテンションが上がっていきます。

そして、物件を一目見た瞬間。

「ここ買います」

当時、上の娘がその年の春から幼稚園の年中さんになる頃でしたので、移住は小学生になる直前の2018年の秋くらいを予定していましたが、もうその家を買うことにしたので1年以上前倒して2017年7月、御代田町へ移住することになったのです。

軽井沢エリアの御代田町で
暮らすメリットとは

軽井沢エリア(佐久市・小諸市など)を移住希望地に選んだのは、涼しい夏を過ごせる自然環境のほか、教育環境、医療環境、文化面など、移住者(流入人口)が多いといった大まかな点においてどれも高ポイントであったからです。

そして、御代田町に実際に住み始めて2年半。いろんなことが明確になってきました。

メリット1. 夏の快適さは何にも代え難い

ここ数年の太平洋側の夏の暑さは異常です。都心に行くとヒートアイランド現象で、外を歩くのは本当につらい。熱中症などのリスク回避やクーラー病防止も考慮の上、涼しい夏が過ごせる地域へ居を移したかったのです。

即決で購入した中古住宅は築10年の一般的な家屋ですが、家中を見回してもエアコンが見当たらないどころか、壁にはダクトの穴すらありませんでした。

前オーナーさんに聞くと、クーラーは必要なかったので設置しなかったとのこと。これには驚きましたが、実際に住んでみて納得。

2017年8月末:正午の気温 (上が室温、下が外気温)
2017年8月末:正午の気温 (上が室温、下が外気温)

 

最高気温が35度を越える日や熱帯夜は何日かはありましたが、耐えられないほどではなかったです。とはいえ、日中家でも仕事をしますのでリビングにはエアコンを設置しましたが、8月のお盆前後しか稼働しませんでした。

朝夕は本当に涼しくて、近所を散歩するのが日課になりました。夏の軽井沢や御代田町は最高です!

メリット2. スーパーマーケット TSURUYA(ツルヤ)の存在感

リニューアル前のTSURUYA御代田店
リニューアル前のTSURUYA御代田店

長野県小諸市に本社を持つ、まさに”スーパー”マーケットチェーン店の「TSURUYA(ツルヤ)」。安いけどディスカウントストアのようなチープさがなく、品揃えが見事なのに高級感を演出している訳でもない、そう「誠意」が売り物のようなすばらしいお店。(*TSURUYA御代田店は、2019年9月末から工事中で2020年4月末にリニューアルオープンです)

このお店が近所にあるというだけで、消費者物価指数が低いまま、生活満足度指数は向上します。

野菜は安くて新鮮かつ良質、惣菜はおいしいくてリーズナブル、肉・魚も高品質で全国の産地がラインアップ、地元のワインや日本酒も豊富。そして、ツルヤ独自のPB商品がとても魅力的。

・地元ブランドの牛乳が、低温殺菌で1ℓ190円くらい
・PBブランドのストレート果汁トマトジュース800mlで390円くらい
・ハーゲンダッツのアイスクリームが、激安などなど

スーパーマーケット「ツルヤ」が近隣にあるだけで、生活が豊かになります。また、軽井沢や小諸を訪れた際にお土産を買うなら、ツルヤがイチオシ。スーパーマーケットなのに、デパートのような立派なギフトコーナーがあり地域の名産やPB商品が発送できます。

さらに場所は少し遠いですが、肉・魚・野菜・惣菜に関して、ツルヤを上回る存在があります。それは御代田町から西へ25kmほどに位置する上田市にある「A・コープファーマーズうえだ店」。現時点で私の知る限り東信エリアで最も高品質で安価な品揃えであるといえます。地元ブランドの信州牛もここの精肉店が一番。また、海のない長野県において「生サンマ」が手に入る希少性もあります。

 

メリット3. 年中快晴で雨がほとんど降らないから?

御代田町は、気候が冷涼であることに加えて晴天率が高く、雨がほとんど降りませんし湿度も低い。前に住んでいた伊豆高原(静岡県伊東市)は年間降水量が全国トップクラスでしたので、そのギャップは大きかったですね。

御代田町の平成23年気象統計
平成23年気象統計(御代田消防署に設置してある観測装置から算出したデータ)

このカラッとした気候が原因なのか、町からは陰湿な雰囲気は感じ取れませんし、長年の信濃教育文化が浸透しているのか?住民の皆さんも気さくで親切な方が多い印象です。

あと、自動車はもちろん、自転車、歩行者、みなマナーが良いです。それ故かどうかはわかりませんが、今のところ、駅前をローリングする珍走族や夜中にコンビニの前で騒ぐような人達には、遭遇していません。

昨今、横断歩道に歩行者がいる際に車が一時停止する割合が話題になっていますが、御代田町を含む長野県は、ダントツの全国1位です。

御代田町の一時停止率のデータは手に入りませんでしたので、実際に調査して記事に掲載しています。

御代田町への移住は失敗?
寒冷地で暮らすデメリット

さて、移住というのは、いいことばかりではありません。知らない地域に移り住むわけですから、想定外や予想外のことは起こるもの。私も移住先については、入念に調べましたが、温暖な太平洋側でしか暮らしたことがないので、寒い地域の「冬」というものがどういったものか充分に理解できていませんでした。

デメリット1. 想像を超える冬寒さと痛さ

「冬はホントに寒いよ~」
「寒いというか痛いのよ!」
「寒さだけは慣れないわ~」

引っ越しの挨拶や、近所の方と初めてコミュニケーションを交わしたときに、真っ先にでてきた言葉のベスト3がこれです。

いやいや、どんだけ寒いのよ!大げさだな!と思っていましたが、人の言うことは素直に耳を傾けるべきですね。初めての御代田町の冬は、体の芯まで凍える寒さでした。(※ただし、家の中除く)

2018年2月中旬:夕方の気温(上が室温、下が外気温)
2018年2月中旬:夕方の気温(上が室温、下が外気温)

この温度計を見ていただければわかるように、外のマイナス気温はあたりまえ。早朝や夜にはマイナス10℃以下になることもよくある日常です。

いや、ここまで寒いとホントに「痛い」んですよ。寒さよりも痛さをどうにかしなければいけないという状況は人生初の経験でした。

 

デメリット2. 想像を超えた冬の高額な光熱費

私が即決で購入した中古住宅は、薪ストーブが設置されていました。家の構造も薪ストーブで全体を暖めるように設計されているとのことで、仲介業者からは「冬の暖房は薪ストーブをメインにしてください。」と言われました。

薪ストーブ。憧れますよね。実際に使ってみると、そのやさしい暖かさは、電気や石油の暖房器具とは一線を画した別次元の良さがあります。

しかしながら、その良さの代償で、ビックリするくらい維持・運用コストがかかるのです。

薪ストーブ
我が家にビルドインされていた「薪ストーブ」
【初期費用:約11万円】

薪ラック代・・・2万円×2台(その後、自作のラックを12台作ることになります)
各種器具・・・9万円(道具類、グローブ、その他)

薪ラック
市販の薪ラック

 

【初年度運用費:約30万円】

煙突掃除・・・3万3,000円/年1回
燃料の乾燥薪代・・・4万5,000円×6カ月

約1カ月分の薪
約1カ月分の薪(2tトラック満載)

燃料の薪は割ってから1年以上自然乾燥しなければ、水分含有率が高くて使えません。なので、すぐに使用出来る「乾燥薪」は結構お高いんです。しかも1カ月でかなりの量を消費するので、薪代は馬鹿になりません。1カ月4~5万円もかかります。

それでも、他の暖房費がかからないので、電気代や灯油代が浮くと思ったら大間違い!なんと、寒い地域ならではのコストが別途かかってくるのでした。

そのコストとは「水道管凍結防止の電気代」

気温がマイナスになると、水道管の中の水が凍ってしまい水が出なくなるどころか管が破裂する恐れがあります。なので、そうならないために水道管を常に暖めておく「水道凍結防止ヒーター」というものが設置されています。

このヒーターの電気代が、推定ですが1カ月で約3,000~6,000円くらいかかるのです。
加えて、薪ストーブに限らず暖房器具の弱点は「乾燥」。加湿器を稼働させてなければ、部屋の湿度は10%後半から20%という超乾燥状態になり、危険です。

そのため、自宅では大型の加湿器を24時間稼働させているので、電気代としてさらに7,000~8,000円/月もかかります。(※併せて24時間換気システムも稼働)

結局、真冬の電気代はおよそ3万円弱。乾燥薪代を含む「暖房費と電気代」で1カ月に7~8万円かかってしまいます。

水道や暖房にここまで費用がかかるとは、思いもよりませんでした。節電や薪を自前で調達するなど、大幅なコストダウンに真剣に取り組まないと家計が破綻する可能性も出てきましたので2年目以降は、自前で薪を調達したり、森林組合から安い原木を購入して自分で薪を作ったりしてコストダウン。電気も新電力の「ピタ電」に変更して、1〜2割ほど安くなりました。

御代田町で暮らしていく上でどのくらいの光熱費が必要になるかは、こちらの記事に実例を掲載しています。

御代田町で暮らす
メリットとデメリットまとめ

御代田町に移住してきて3度目の冬を迎えた短い期間の中で感じたメリットは、自然豊かなのに不便さがなく晴れの日が多いという住みやすい環境でした。マイナス面に関しては、寒さから起因する高額な暖房費負担でしょうか。

ただし、高額な暖房費はコスト的にはマイナスですが、実は余分に負担しただけのメリットもあるのです。これは薪ストーブが設置されている家に限定される話ですが、薪ストーブは石油ストーブやファンヒーターのような嫌な匂いがしませんし、エアコンの様に乾燥した風があたることもありません。何よりも遠赤外線で部屋中をまんべんなく暖かくするので、家のどこにいても寒くないのです。

例えば、夜寝る直前に薪をくべて燃やしておくと朝方の部屋の気温は10℃を下回ることはありません。東京のマンションに住んでいた時よりも朝起きるときが快適なのです。外に出れば氷点下の気温ですが、一般的には冬でも家の中で過ごすことが多いので、結局の所、都会に住んでいるときよりも冬の部屋で過ごす快適指数は、大幅に向上しました。

結局の所、どこに住むにしても理想郷のような場所は、私の知る限り日本国内には存在しないので、良い面・悪い面のトレードオフになると思います。その上で、環境面から御代田町で暮らしていくことについてまとめるなら、「最良」であるように思います。

 

※このページの内容は2018年に制作した記事を再編集したものです。